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「アート・オーマイ・国際レジデンシープログラムに参加して」

インタヴュー by サムワンズ・ガーデン

書籍「世界の、アーティスト・イン・レジデンスから」 2009年

『Art Omi』を選んだ理由について

アートオーマイは、全米でもトップクラスの待遇とステイタスのあるレジデンシーなのでチャレンジしました。 3週間の滞在の間にNYなどからのギャラリストや、インディペンデントや美術館のキュレーターらが、毎週数人ずつゲストとして来ます。それへのプレゼン、またオープンスタジオに向けての制作、夜の飲み食いアトラクション(笑)、各国アーティストらとの交流などなど盛りだくさんで、かなりインテンスなプログラムでした。

自国との違いについて

他のレジデンスに比べると、参加アーティストらはもう皆既に自分のスタイルを持ち、キャリアをひっさげて営業に来てるって感じでしたね。ただ参加枠を持っている国から来たアーティストと、自力で応募し高倍率をくぐり抜けてきた人のレベルの差ははっきりしていました。欧米のアーティストらは、アイデアから実行に移すステップが軽い印象があります。そして説明が上手。言葉から入って行く方がプレゼンテーション能力はつきますが、作品に振り返って再検証するより、前へ進めて行ってしまうように思います。作品の力も備わっている人は、どんどん世に出て行くように感じます。

『Art Omi』でのプロジェクトについて

なにかその環境で出来る新しい事をしたかったので、まずアウトドアインスタレーションのプランを考えに周辺を探索しました。数日前に切り倒されたという木の切り株を発見し、それぞれのピースの断面の年輪に私の線を重ねて行くというプロジェクトを実行し、スタジオ内カッティング作品によるインスタレーションと関連性を持たせました。

キュレーターの方々と関わって仕事をしていく際、彼らの思想により、私の作品がまた立体的な視点で捉えられ、展覧会に吸着していくところがおもしろいと思っています。 11月の次回のアメリカでの個展はキュレーターの意向で、すべてアーティストのカタログ本を切った作品で構成されます。20世紀初頭の世界的著名な方々から同世代のスーパースター達など、彼らの表現を理解し、そして自分とクロスオーバー出来得る点を探し出し、どこへ向かうのかという行方を見据え、作品へと昇華させて行く行為は、日々格闘の連続です。

インスピレーションの源について

制作行為を通して、何らかの真理、発生するということの真実に向かって行きたいのだと思います。ミクロからマクロへ、過去から現在、未来へ、自然と人間の存在の繋がりをテーマに、カッター1本で、切って、重ねて行くという私の言語のような表現方法を使っていますが、それぞれのマテリアルに出会った時に、表現すべきもの、また作品の自ずから育っていきたいという方向を見極め、自分の出来得る限りに、それを実現させてゆくことを試みています。

A.I.R.の重要性について

一つは、他国の同世代のアーティストらの思想や生活、制作のプロセスが垣間見える事だと思います。互いに影響し合い、日々の会話からヒントが得られて行くこともあると思います。同時代を生きるアーティスト同士の繋がりは財産です。ネット時代に物理的距離は関係ないですから。又、言語のハンデなどから劣等感を感じる瞬間もあるかもしれない。作品とパフォーマンスで乗り切れるけれども、日本語という特殊な言語を媒体としてものを考える日本人だということへ、自意識が拡大されるということもあると思います。日本人としてすくっと立っていられるように。

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